unconscious 脳

完成しない何かを書くADHD脳の片付かない本棚

破片ショート<1990年頃>

隠されたこと

そう、隠されたことだ。 彼女は知っている。ゆっくりと化粧をしながら。魅力されるのはあなたではなく、自分自身。とてつもなく魅力的な。 隠されたこと、それは隠すことだ。 あなたが言う。愛してるのかと。 知らない、と彼女は言う。 触れたくもない、あ…

饒舌に固められた朝

いつもの朝。 僕は7時ちょうどに目を覚ます。洗面台で顔を洗い、2.5センチ分の歯磨きを2分間する。フェイスタオルの角と角がぴったり合うようにカーテンレールに掛け、歯ブラシの傾きに細心の注意を払いながらドアを閉める。キッチンに行き、時計が止まるほ…

ピンクマシンガン

11時55分。コピー機の上の壁に設置された四角い白い時計は一日のうち二番目の緊迫感を感じている。さながらオリンピック陸上100M競技のスターターの気分だ。スタート地点というのは常に忘れられる存在だが、一斉に彼女達が立ち上がった時すでにオフ…

キューブ、色

あなたは何色ですか キャビンアテンダントは皆、アスピリンを飲みながら真剣に業務に取り組んでいて一様にサロンのカラフルな色のような笑顔を見せる 飛行機はどこへ行くわけでもなく往復を繰り返している 私の隣にいた紳士はどこへ行ったのか全てのピースの…

引力のような

僕はよく歩きながら、地殻を意識します。 僕の裏側を歩く人を想像します。 僕の脚と地殻を通じて繋がる人です。 僕はその人がいつも同じ人なのではないかと考えたりします。 表層をゼラチンで固められた世界はザワついたままで、 僕らはどこへ行くのか、動か…

昇天

決して隔離されない解放されてゆく自らの脚のつながる核とともに確実に進む時が形成してゆく層の上にある、その中心の それは侵されない隔離された場所鼓動の奥もはや表現されていくものでない開かれてゆく飾られる触れられるものでないいつか切り刻まれて手…

攪拌

既に犯された自由の女神の彷徨う両手は緊縛の故のめり込み現象既に萎えた偶像たちに踊らされ続けるインデックス残骸エゴから発生した崇拝の脳内細胞の矮小さなら曼陀羅に投擲せよ崩壊の建築物のなかで小麦の胞子となり生の忘却へゼロへの混沌総て釈迦の範疇…

盗まれた人々

ふと見ると心臓の一部がなくなっていて風が吹き抜けているのでした そこは空洞ではありますが何かの映像が流れているようで少し脱力ぎみに幼い頃に最初に習った簡単な言葉に吸引されていくあの触れない指先の切なさを感じるような遠い 遠い空洞なのでした 夕…

白の真実

236回目のベルは押されずに、裸に書かれた水墨画だけが消えずに残っている。 キリンが白黒なら、ライオンは何色なの?。ベット横たわったMは背を向けたままいう。華奢な肩とお尻がシーツから出ている。 君の言うその白はさ、本当に白なのかい?よく見て…

例えば一秒に、

例えば一秒をテレビのリモコンのスイッチを押して消す君の動作 俯瞰に見ているのは僕なのか四角いスクリーン部屋と言う名の換気扇が遠くで止まらないので 例えば一秒を、 戦争が過るが手の施しようがなく、風が強く雨が降るので洗濯は止めようと思うロメイン…