いつもの朝。
僕は7時ちょうどに目を覚ます。
洗面台で顔を洗い、2.5センチ分の歯磨きを2分間する。
フェイスタオルの角と角がぴったり合うようにカーテンレールに掛け、歯ブラシの傾きに細心の注意を払いながらドアを閉める。
キッチンに行き、時計が止まるほどゆっくりと丹念にコーヒーを煎れる。
いつもの朝だ。
マグカップを片手にリビングへ行く。
お気に入りのソファに、
と、
そこには女がいるのだった。
ああ、
ここ僕の部屋じゃないな。確かにあのソファじゃない。
ソファに置かれていたのは、正確には女の胴体。
頭部が無い。
ふう。
僕はそれをそのままに、寝室へと向かう。
ベッドの上には女の頭だけがあった。
こんなに髪長かったんだ。
僕はその頭部を抱え、コーヒーを飲みながら、リビングに戻る。
胴体と頭部をくっつけるのは、朝には結構な重労働だ。
彼女が言うには、
眠れない時は身体を離しておけばいいの。
身体まで起きてることはないんだから。
このはじめて会った女は新型らしく、首の取り付けシステムがわからない。
うまくはまらなくて顔がぐにゃと傾く。
まあいいか。
そして僕らは、同時刻にそこを出た。
いい天気だ。
ねえあなた、脊髄忘れてない?
ああそうか。
女はとても手際よく僕を折りたたみ、バッグに入れる。
途中コンビニへ入り、使い捨ての脊髄を買った。