unconscious 脳

完成しない何かを書くADHD脳の片付かない本棚~Energy is circulating

小説?「僕がいっぱいいる」<1990年代頃>

「僕がいっぱいいる」6だった

ちっちゃな僕との生活はその後も続いていて、想像つくだろ?そりゃ勝手なんだから。僕の資料が77ばっかりになるし。鍵は冷蔵庫にあるし。時計の針を戻してるし。 キリがない。そんなこと誰にも言える?僕はちっちゃな僕と一緒にいるなんて。 お手上げ。 そ…

僕がいっぱいいる 5

映画館でちっちゃな僕らは全くもって自由だった。もちろん完全に僕自身より映画に没頭してるやつもいたけれど、どこを探してもいないのもいたし、ちゃっかり可愛い女の子の隣に座ってるやつもいた。寝てるのもね。 全くなんで連れてきちゃったんだろ。 この…

僕がいっぱいいる 3

さて映画館。そのアミューズメントな雰囲気を漂わせ異空間に彷徨い込んだ者達にチケットを買わせ、酔いしれたままに下階でのお食事や分不相応に無駄なショッピングをさせようというビル側の意向には沿わないようにと、僕はエスカレーターを上がり切った瞬間…

僕がいっぱいいる 2

それからのちっちゃい僕と僕の生活は、僕を限りなくうんざりさせた。 はしゃぎっぱなしの奴は部屋中を走りまわり、壁に穴をあけるし、夜になると起きだしておもむろにゲームをしだす奴もいるし、かと思うと部屋の隅で瞳が乾くほどに宙を見つめ続けてる奴・・…

僕がいっぱいいる 1

バスルームからあがってテレビをみようとしてたんだ。するとほんの少し開いたクローゼットがキュキュっていうから覗きこんでみたんだ。すると、ひゅっと隠れた何かがいる。おや、と思ってるとベッドやソファーの隙間にちっちゃな僕がそれはそれはいっぱいい…

僕がいっぱいいる 4

と、その暗さにあるいは周囲が視線を一定方向に釘づけられたのを見計らったように、またしてもいっせいに小さな僕たちがポケットから這い出した。 僕は慌てふためいて、それは当然のことで、映画などより周囲の視線がこちらに釘づけになっては、映画館側とし…