キューブ、色
あなたは何色ですか
キャビンアテンダントは
皆、アスピリンを飲みながら真剣に業務に取り組んでいて
一様にサロンのカラフルな色のような笑顔を見せる
飛行機はどこへ行くわけでもなく
往復を繰り返している
私の隣にいた紳士はどこへ行ったのか
全てのピースの色の違うルービックキューブを座席に残したまま帰ってこない
私はそれを手にして回してみる
ルービックキューブはやはりいつまでも完成しない
それでいいのだろう
振り返ると全ての客が
ルービックキューブを回している
そう
誰もがルービックキューブを抱えている
あなたは、何色ですか?
飛行機は誰をどこへつれて行くのか
結局辿り着く場所は私の選択でしかない
紳士はすでに座席に戻り明日の会議について考え
キャビンアテンダントは
脚のむくみをとる機器の選択に悩んで
誰かはキューブを持ったまま身体をネジまげて熟睡している
皆、夜明けを飛んでゆく
もはや、
色はいらないのかもしれない