unconscious 脳

完成しない何かを書くADHD脳の片付かない本棚

僕がいっぱいいる 5

映画館でちっちゃな僕らは全くもって自由だった。もちろん完全に僕自身より映画に没頭してるやつもいたけれど、どこを探してもいないのもいたし、ちゃっかり可愛い女の子の隣に座ってるやつもいた。寝てるのもね。

 

全くなんで連れてきちゃったんだろ。

 

この日は彼女と映画を観る約束だったので、僕はさりげなく、ばれない程度におしゃれをして新しいお気に入りの腕時計を見ながら玄関を出ようとしてた。その出掛ける間際に、彼らは僕の日記、(日記なんてさ、ムーミンに出てくるあいつ誰だっけ?ギター持ってるあいつ、ま、いいや、なぜあいつを思い出したかよくわからないけど、僕としては絶対に確実に僕の人生そのものが崩壊するくらいに、日記なんて誰にも見られたくないものなんだが、だってそうだろ。裸より裸なものなんて醜悪だと思わないか?そのくせ僕はこっそりと日記を書いたりするわけだけれども、手に負えなくなった何かを吐露したくなることもあるのさ。しかも陶酔して!。誰が理解するっていうんだよ。他人を。僕はさ、僕の中の僕でさえよくわからなくなるんだから。そうさ、明日の会議の資料が出来てなくてもつい他の何かに没頭してしまうんだ。それは違う話だな。)

 

とにかくは僕が玄関を出ようとして振りかえると、ちっちゃな僕ら、それも全員でだ、日記を開こうという陰謀を企てていたために、心ならずも彼らをポケットに詰め込むはめになったわけ。

 

(続いてます)