人間(仮に)
「物質は波で出来ています。」
とその大学生Sは言ってシンクを撫でる。
は?
と、皆は言って笑う。いいから早くそのトマト切りなさい。
「光も、」
わかったわかったから、早く!トマト!
誰もがイライラするか、あきれて笑う。
Sは元気だろうか、彼の話が好きだった。
何もわからなかったけれど。それで?それで?
と聞くと、照れて。
白い陶器のような肌の。瞳の焦点が少し合わない。
そんなの真剣に聞くの私さんだけですよ。
ねえ、
いつの間に人間たちは物体を物体にしか見れなくなったんだろう。少し近ついてきたかもしれない。まあ、いいけど。そう言えばお金を考えたあいつ「いや失敗したよ、こんなことなるなんて。」てさ。
宇宙とか言って望遠鏡で見るとか、もうね、そうじゃないだろう?月に生命体がないとか、いや生命体って自体、観念だけど。観念?言葉がはそろそろ変わる時期かもしれないね。全ての。追い付いてない、数値のほうがまだいい。そう?まあ、思考がなければそれは無いし、逆にあるものはあるんだ。人間もっとやれてたのにね。人間の言う古代のあたりとかね。いや、あれがさ知識や技術の頂点だった、むしろ終わりだった。
脳の操作は自分たちでしてる。気がつけばいいけど。
人間は無いことが有ることを、忘れたんだ。
それを戻せたらいいのに。
もったいない。
祈るみたいのはやっていたね、ずっと。人間。ほんとは偉大な何かなのに。
人間。
そう、仮に人間って名前つけてるけどね。