僕がいっぱいいる 1
バスルームからあがってテレビをみようとしてたんだ。
するとほんの少し開いたクローゼットがキュキュっていうから覗きこんでみたんだ。すると、ひゅっと隠れた何かがいる。おや、と思ってるとベッドやソファーの隙間にちっちゃな僕がそれはそれはいっぱいいたんだよ。
とりあえず、やあ、と声をかけてみる。
やあ。
みんないっせいにね。
ねえ、出ていい?
いいよ。今、映画がはじまるんだ。一緒にみる?
最初のひとりがソファーの上から下の僕の肩にのって、転がり落ちる。あとは次から次へとあふれでる。
あたりは僕でいっぱい。
何だかゲラゲラ笑ってるやつや、跳ね回ってるやつや、僕の腕のうらからもじもじして出てこないやつとかね。
みんな僕。
ちょっと首にぶらさがるのはやめてくれないかな?
静かに映画をみようよ。
そんな夜。
(続きます。多分)