unconscious 脳

完成しない何かを書くADHD脳の片付かない本棚

「断層」5 浴室

浴室に私はいる。顔だけを水面から出し、瞳を閉じる。髪は放射線に解放され、私から離れてゆく。心臓の音が微かに聞こえる。

映像が時間とともに積み重なり、一人の人間が作られる。いくつもの層、幾重にもなり、すでにそれらは地下深くに沈んでいる。
取り出すことは不可能に思われる。しかし、ふいに、そう、すでに層は混沌とし、とらえられない次元のものとなり、そのなかから、ふいに訪れる。形成、私たち自身を形成してゆく。映像が、あらわれる。
すべてもはや意志ではない。層になった形。
美しくもあり、ひどく脆くもある。


私の心臓は浴槽に浮いている。
ユニットバスに溶け込んだ映像は液体となり、心臓の鼓動を時間のぶんだけ静かに進めている。

私はそれを見ている。